グランディディエリの森

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グランディディエリの森 - ゲーム『ファイナルファンタジー Vlll』に出てくる地名

深い森を抜けてようやく開けた場所に出た。柔らかそうな草地の上に明るい日差しがいっぱいに降り注いでいる。チョコボたちが何匹か草むらの上にしゃがんで、日向ぼっこをしている。見覚えのある少年もそこにいた。確か……ちょこ坊とかいったか? こちらの足元を見てあの手この手でギルをせびってくる、生意気な子供だ。そのちょこ坊が言った。

「世界各地のチョコボが勢揃い! すごいときにきてしまったあ」

どこからか、ひときわ小さなチョコボが飛んできて、チョコボたちの中心に降り立った。その小さなチョコボが鳴き声をひとつあげると、どこからともなく音楽が流れだし、チョコボたちはそのリズムに合わせて一斉に踊りはじめた。聞いたことのあるメロディー。どこから音楽が鳴っているのかはわからなかったが、それについては深く考えないことにした。

やがて音楽が止み踊りが終わると、チョコボたちは一匹ずつ引っ張り上げられるみたいに宙に浮かび、それぞれどこかへ飛び去ってしまった。小さなチョコボだけがあとに残った。俺は何となくそちらへ歩み寄る。あるいは何かを期待していたのかもしれない。こういう時にはたいてい何か起こるものだ。
きらきらした青い瞳を覗き込み、「何かくれるのか?」とたずねてみると、小さなチョコボは自らの腹の毛にくちばしを差し込み、しばらくごそごそしたあと、四角い紙片のようなものを取り出した。俺にくれようとしているらしい。俺は受け取って言った。

「『コチョコボカード』を手にいれた!」

これは口癖のようなものだ。どんな局面であっても俺はこの台詞を言わずにはいられない。

ちょこ坊のところに戻ると、彼は何かわけのわからないことを口走ったあと、走ってどこかに消えてしまった。全く妙な奴だ。仲間たちは陽だまりの中で心地好さそうにしている。俺も草の上に横になった。

「もう少し、この森に居るか……」

暗く深いあの森に戻るのは、もう少しあとでいい。キスティス先生はチョコボからもらったカードを珍しそうにしげしげと見ている。