鳥か何かの鳴き声

ひとけのない広場で、ベンチに横たわって昼寝をしていたら、鳥の声で目が覚めた。すぐそばにある大きな木の枝に鳥が大勢とまっているらしい。まるで世界中の鳥が集まっているのではないかと思うほど、多種多様な鳴き声がそこにあった。それらがひとかたまりとなり、混然一体となって頭上から降り注いでいた。

ひとつひとつは小さな鳴き声のはずだった。そして快い音でもあるはずだった。でもそれらがこうやって一斉に響き渡ると、やかましいなどというものではなかった。鼓膜に細い針がびっしりと突き刺さるみたいだった。実際に、耳はずきずきと痛んでいる。
なぜかどれだけ探しても鳥の姿は一つも見えない。本当に鳥なのか?と尋ねかけてみたが、こたえるものはない。

鳴き声はそのあともずっと続いた。何であるにしても彼らは木から離れるつもりはないらしかった。