白熱する路地 (Exciting Street Scene)

第4地区と都心部とをつなぐ全ての道路が封鎖された。その措置により区画は都市から切り離されてしまった。大多数の市民の安全と利益を保護するために、第4地区は犠牲になったのだ。市長による演説がテレビとインターネットを通じて中継された。市長は該当の第4四地区の住民へ向けて、涙ながらに、為政者にとっても苦肉の策であることを強調したが、美辞麗句に彩られたその演説の底に流れる真意は要するに、飢え死にするまでそこでおとなしくしていろ、という要求にほかならなかった。

第4地区地区の住民は当然ながらその非人道的な所業に怒り狂った。彼らは暴徒化し、路地の封鎖にあたった機動隊を襲撃した。怒号と悲鳴が飛び交い、街は歴史的な喧騒に包まれた。重病人を除くほとんどすべての住人が年齢、性別を問わず、暴動に加わっていた。
武装した機動隊員は訓練を積んだ戦闘のプロであり、そのうえ鉄のように冷酷で、しかも好戦的だった。彼らは躊躇なく発砲した。力の差は歴然としていた。堅牢なバリケードはびくともせず、多くの暴徒が射殺されるか逮捕された。そうして暴動は比較的短時間のうちに鎮圧された。

残された人々にできることはもうなかった。彼らはそれぞれの自宅へ戻り、ただ運命を受け入れた。