凍れる鳥


君は地面に固定されて凍りついていた。
体のどこをも動かさなかった。
僕が見ている間、一度も。
何だか君は、辞書には載っているけれど誰も一度も使ったことのない
忘れられた死にかけの言葉みたいだった。
そういう言葉は確かにある。何しろ言葉というものは途方もない数があって、誰にも見向きもされない言葉があったって不思議じゃない。
そして君は、自分が死んだ言葉みたいに見えることを
否定していないように見えた。
いつか君が飛び立つときが来るのだろうか。来るとしたらそれはずっと先のこと、永遠に近い時間が過ぎた後のことなのかもしれない。
でもそう思った瞬間に君は飛び去ってしまった。
ああ、やっぱり作り物なんだな、彫像か何かなんだな、と思ったのと同時に、飛び去ってしまった。