4分の1太陽

その部屋の天井近くに据え付けられた扇形の窓は一日に15分だけ日差しを受け止める。あふれるほど光が差し込み、ゼリーのようにあらゆる隙間へ染み入って、室内を暖かい黄金色で満たすのだった。光でふさがれた扇形の窓はまるで4分の1に切り取られた太陽のよう。
一人の人物が壁に背を預けて佇んでいる。その人物は光に目を細めながら痩せた手でその輝くゼリー状の光をすくいとり、口に運んだ。
すぐに15分が過ぎ、光は消えた。4分の1太陽はただの暗い穴へと戻り、魔法は解けてしまった。壁際の人物は同じ姿勢のまま、眠るでもなく静かにじっとしている。扇形の尖った直角の部分から、残った光のしずくが垂れて、壁を伝って流れた。
過ぎ去った光の余韻に浸りながらその人物は次の光を待ち受ける。次に光が差し込むのは明日の今日と同じ時刻。それまでの時間は永遠のように長く感じられる。