この風景は、今はありません。


画面左のマンションは取り壊されてなくなりました。今はその場所はスーパーマーケットになっています。ところで私は、なくなったあのマンションがとても好きでした。ひどく古びて、住人もほとんどいなくて、取り壊されて当然の、救いのないマンションだったのですが、そのうらぶれて寂れた、廃墟めいた雰囲気が、たいそう私を魅了していました。

 

 

写真を多く撮りました。

夜に通りかかると、いくつかの窓に明かりが灯っていて、私は下の駐車場からそうした家の窓明かりを見上げては、部屋の住人の暮らしを想像した。そういう古い廃墟っぽい集合住宅に住む人の生活を想像するのが、私は好きなのです。

今、この失われたこのマンションを思うとき、それは私をどことなく静かな気分にします。