あるお洒落なパスタ屋

あるお洒落なパスタ屋に入ると、店内の客たちが一斉に僕のほうを見た。それもちらと見るのではなく、じろじろと、まじまじと、無遠慮に。僕は気にしないふりをしていたが、それは成功しなかった。動作はひどくぎくしゃくするし、店員に注文を伝えるときには、メニュー名をまともに発音することができず、変な声が出てしまった。その店員も僕を睨みつけていた。僕が黙ったままでいると、目つきはますます鋭くなった。

しばらく迷ったが、僕は無言で立ち上がり、出口へと向かった。店員は呼び止めもしない。客たちはじっと僕の動きを目で追っている。僕はそのままパスタ屋を出た。
ひどく空腹だったが仕方ない。あの店にいた連中はみな、僕をあの場所から排除したがっていた。そんなところでどんなものだろうとおいしく味わえるはずはない。逃げ出したほうがいいに決まっている。

別の定食屋に入ってみたところ、そこはやたら大学生が多く、若干居心地が悪かったけれども、気分的にはよほどましだった。大学生たちは僕のことなど見向きもしなかった。