プール遊び

今日は庭にゴムのプールを置いて子供たちを遊ばせていた。
娘が弟にどんどん水をかけて、水が苦手な弟はひどく嫌がって逃げ回っていた。あんまりいじめちゃだめだよ、と僕はいさめたのだが、娘は弟を水に慣れさせないといけない、という使命に燃えていて、ひどく熱心だった。しまいには弟は泣き出してしまい、叱ったり弟をなだめたりしているうちに、娘まで泣き出してしまって、午後のプール遊びはさんざんだった。娘のユイの言うことも、一理あるとは思うが、僕も子供のころ泳ぐのが苦手だったために、そして水泳の授業からひどく逃げ回っていたことがあるために、ケイの気持ちもわかるので、いまいち厳しくできないのだった。それにユイはあきらかに必要以上に弟に水をかけていて、僕はときどき注意しなくてはならなかった。
泳げないと困るよ、そうでしょう、と娘に問い詰められて、僕はまあそうだなとなんとなく肯定してしまった。そのうえ何だか話の流れで、 僕も昔から泳ぎが得意だった、というちょっとした嘘までついてしまった。子育てにおいて、僕はしょっちゅう子供たちにこうした小さな嘘をついてしまう。今では一応泳げるとはいえ、決して得意ではないのに。
海に行くのをユイはとても楽しみにしている。その日が来るのを指折り数えている。弟のケイは、まだ海を見たことがないから、(本当はあるのだけど、まだ小さかったので覚えていない)何のことだかわかっていないらしい。でも水が嫌いな彼も、浮き輪さえあれば楽しそうにしているので、まあ安心だろうという気はする。ユイは海で水上スキーをしたいと言った。友達からその話を聞いて、自分もやりたくなったらしい。しかし僕は水上スキーなんてものには手を出したことがないし、どうやるのかもわからない。でも子供の前でそんなことを言うわけにもいかず、適当なことを喋ってお茶を濁しておいた。

ねえパパ、土曜日まであと何日。
あと4日だよと答えるとユイは遠くを見るような目をした。