夜明けまでの7分

夜通し歩き続けてたどりついたのは墓地だった。片隅にあったベンチに倒れこむように横になり、眠ろうとして目を閉じたが、疲労はあまりに深く、ほとんど痛みを伴っていて、ただ浅い無意識を何度も繰り返しながら数時間が過ぎたが、夜はなかなか明けず、あたりは暗いままだった。脳の深奥にある核のような部分が、刺々しく熱を持っていて、忍び寄る眠気をシューティング・ゲームみたいにつぎつぎ撃ち落としている。

僕は目を開けて、暗い空が徐々に明るくなっていくのを見ていた。そのとき僕の目は色の一瞬ごとの変化の度合いを、色の濃度のごく微妙な差異や相違を、完全に識別することができた。そして自然の中にはいまだ名付けられることもない微妙な色合いがまだ無数に存在することを知った。
そのうちに右手の方角から日が差し込んできた。光を直接目にすることはできなかったが、その仄かな熱を皮膚に感じたのだった。