消灯

夜の都市を見下ろしながら、暗い地表に点々と散らばる光を数えていた。それは数えられる程度の数しかない。かつてこの場所からの夜景は、光に満ちていた。地表は粒のような光に埋め尽くされ、連なる車のヘッドライトは川のように流れて、地の果てまで伸びていた。その明るさのために、夜中でも空の端はぼんやりと明るかった。
しかしそれは遠い昔の話である。いまやすっかり寂れたこの街からは、あの溢れるような光はなくなってしまった。

夜が深まるにつれて、光はさらに減っていった。ひとつ明かりが消えるのを確かめるたびに、彼は胸にかすかな痛みを覚えた。すべての明かりが消える前に、彼は窓辺を離れた。光が絶えた後の景色を見たくなかった。

布団にもぐりこみ目を閉じると、眠りはすぐにやってきた。夢にかつての眩い夜景がでてきた。夢の中で彼は巨人になり、光に覆われた黒い地面をスプーンですくい、それを食べていた。