輪廻ハムスター

ハムスターのネズは走っている。お気に入りの回し車を回転させている。彼はひっきりなしにその遊びを行って飽きることがない。それにしても恐るべき体力だと思う。ハムスターのネズが休むことなく餌も食べずに走り続けて今日ですでに10日が過ぎているのだ。無尽蔵の体力を持つネズ。いまだ疲れた様子は見えない。

遊びというのはたいてい目的のないものだが、ネズはその無目的性に取りつかれているように見える。それともそこに意味を見出そうとしてひたすら続けているのだろうか。とにかく車輪は回り続けている。ネズの足が止まない限り、その回転は止まらない。その回し車は100円ショップで買ったようなちっぽけな安っぽいものだが、ハムスターのネズにとっては、自分よりずっと大きい巨大な物体なわけで、そしてこの小さな生き物は自らの力で自分より大きな物体を回転させることの喜びに取りつかれているのかもしれない。いや、そんなことは考えていないかもしれない。いずれにしても人間に同じことはできない。それで僕は少しネズのことがうらやましく思った。生まれ変わったらハムスターになるのも悪くないと思った。