ある夢(燃える男)

夢をみた。男が道端で火に包まれて燃えていた。燃えながら男は踊るような動きをしていた。もちろん本当は踊っているのではなく、熱さと苦痛のために身をよじらせているのだ。通りかかる人々はどういうわけかその男に関わろうとしない。助けようともせず、救急車や消防車を呼ぶこともしない。だからといって完全に無視するでもなく、誰もがちらとそちらに視線を向けるが、しかし特に関心も向けずに通り過ぎるだけである。彼らの目に燃える男の姿はちゃんと映っている。彼が苦しんでいることも認識している。そのうえで無視しているのだった。
男の踊りはいっそう激しくなり、あたりに火の粉が舞い散った。男は悲鳴を上げ、それは苦悶に満ちた声だった。しかしやはり誰も反応しない。人々はまるで道に捨てられた迷惑な不法投棄の粗大ごみか何かのように避けて通る。
よく見るとその男は僕にとてもよく似ていた。顔も体型もそっくりで、まるで鏡で自分を見るようだった。そのことに気づいたとき、僕は男を助けたいと思った。しかし炎はあまりに激しく、男の全身は黒焦げで、もはやなすすべはなかった。

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目を覚ましたとき、全身に汗をかいていた。刺すような悲鳴が耳に残っていた。
ベッドから降りてブラインドをあげ、窓辺に立ち、窓を開け放つ。冬の朝の日差しは弱弱しく、風は冷たかった。
もしあの夢に出てきた燃える男のような、自分にそっくりな男がどこかにいるとしたら、彼は僕と似たような人生を歩むのだろう。見た目や顔がそっくりならば、行動や思考のパターンもまた似通るということはありうる。彼は僕と同じようなことを考え、似たような声で似たようなことを話すかもしれない。僕が部屋で物思いに沈むとき、彼も同じようにしているかもしれない。そしてきっと同じような死に方をする。そうだ、夢で自分にそっくりな男が焼け死ぬのを見たとき、僕は自分の死にざまを見る気がしていた。