風に抱かれる

開け放した窓から風が滑り込んできて布のように身体を包んだ。僕は何かに護られるような気分で安らかに眠りに落ちた。
夕方に目覚めたとき、風は高い音を立てて激しく吹き荒れていた。カーテンがばたばたと大きくなびいて、部屋にあるこまごましたものが吹き飛ばされた。
誰でも知っている通り、風というのはひどく気まぐれなので、ちょっとしたことですぐに表情を変える。僕は立ち上がって窓を閉じたが、そのあとにも部屋には風の余韻が渦巻いていた。