冬の朝の遠くの鐘の音

朝、庭のビオトープに氷が張っていた。ガラスみたいな薄い氷を割って、水に手を入れたとき、中に生き物はもういないことを思い出した。生き物はずっと前にいなくなってしまったのだ。だからこれは今ではビオトープとは呼べない。水と草と石が入っているだけのただの器なのだった。
それでもしばらく水の中に手を浸けて、器の中を探っていた。すると遠くから鐘の音が聞こえてきて、それは反響しながら、歌のように空気の中に染み入っていった。