リンゴ型の泡

頭に水滴が当たって、目が覚めた。晴れた草原に雨が降っていて、あちこちに虹が生じていた。僕がその根元にいた大きな木の葉先からも雨粒が滴っていて、あたりにはリンゴに似た甘い香りが漂っている。その香りに誘われてやってきた鳥たちが頭上で鳴き交わしていた。

僕は夢を思い出していた。その夢にもちょうどリンゴが出てきた。大きな透明なリンゴ型の泡のようなものに包まれて空を漂う夢だった。それは快い夢で、ふわふわした軽やかな感覚がまだ身体に残っている。そんな夢から目覚めたばかりだったので、あたりの景色は夢の続きみたいに思えるのだった。