廃寺 (Deserted Temple)

砂埃が風に舞い、小さな墓に吹きつけている。粗末な木切れによって作られたその墓は、息子が死んだカエルのために建てた墓だった。もっともそのカエルは、息子が飼育していたわけではなく、廃寺の片隅で無残に息絶えていた、見ず知らずのカエルである。息子は地面に穴を掘って、干からびたその死骸をそこに埋めた。さらに落ちていた木片を地面に刺し、そばに咲いていた花を摘んできて供えたのだった。

僕はその様子を見ながら感心していた。ちょっと神秘的な気分を含んだ感心だった。どこでどうやって息子は、死者を弔うためのそうした一連の儀式を知ったのだろう。そうしたことを学ぶには彼はまだ幼すぎるように思える。僕は以前にどこかで耳にした、発掘されたネアンデルタール人の遺体の近くから花粉が検出されたというニュースを、思い出していた。それとも単に、何かのアニメとか漫画で学習しただけだろうか?

僕も同じ小さい黄色い花を摘んできて地面に置いた。そのあと我々は手をつないで廃寺を後にした。